喘息と診断された方へ

1.喘息はコントロールする病気です

医療が発達した現代でも根治ができない病気はたくさんあります。高血圧、糖尿病、高コレステロール血症などが代表選手です。これらの病気は根治はできませんが、コントロールすることはできる時代になってきました。

喘息もそのひとつです。一口に喘息といっても軽症から重症まで様々な病態があります。インターネットや様々の媒体で喘息は完全に治ると書かれているものを散見します。この場合の根治とは一生喘息の発作が出ないことだと思います。残念ですが現在のところ喘息に根治はありません。またあるいはアレルギー体質を元から直してしまう治療はないのでしょうかと問われることもあります。このような治療法は残念ながらありません。一方で喘息はコントロールできる時代になってきました。薬剤をずっと使い続けることに抵抗を感じる方も多いと思います。ただ喘息発作が起これば日常生活に支障がで、重症の場合入院が必要になることもあります。喘息の治療は根気よく続け喘息の発作を治療するのではなく喘息が出ないように治療し、コントロールするのが望ましいと考えています。また喘息の良好なコントロールを続けていくと喘息は出にくくなってきます。ある年までは喘息発作のために、救急受診や全身へのステロイド投与を必要としていた患者さんが徐々に良くなり、使うお薬も少なくて済むようになることはよく経験します。喘息発作は嫌なもので、何時喘息発作が出るだろうかと考えながら生活することは大変なことです。まずは喘息をコントロールすることから始めませんか。喘息のコントロールがよい期間が続けば、喘息は起こりにくくなります。目の前の喘息発作を治療するだけではなく、喘息発作が出ないように治療することも大切です。

2.病気のことを知りましょう

以前から喘息と診断されているかたは、もう喘息についてはわかっていると思われるでしょう。初めて言われた方は、喘息って何だろうと思われるでしょう。知り合いに聞いてみたり、本を買ってみたりすることもあると思います。喘息治療に対する考え方、治療法は、日々更新されています。インターネットで調べる方も多いでしょう。昔の喘息の治療が現在では通用しないこともあります。このホームページにアクセスしている方は当院のホームページやリンク集を参照ください。正しい情報による病気の理解は良い治療につながります。よい治療はよりよい喘息のコントロールにつながります。当院では日常の診療でできるだけ喘息の病気の説明に努めています。

3.担当ドクター(主治医)を決めてください

高血圧や糖尿病には自覚症状がないこともありますが、喘息は症状が呼吸に関することなので、息が苦しかったり咳が出たりと、つらいものです。
早く楽になるようにしたいものです。また苦しい状態に、できれば二度とならないようにしたいものです。それには、自分の状態をよく知っていてくれている担当ドクター(主治医)をもつことです。そして自分の状態や治療に対する希望を伝えておき普段の状態をよく知ってもらっておくことです。薬に関する個人の考えは違うのが当たり前ですが、当院では標準的な治療(時代に合った良質な治療は)を行っていきたいと考えています。

4.医師(主治医)とのつきあい方

昔のように、医師から一方的に指示されるだけの関係は現在少なくなりました。治療はあなた自身と医師の共同作業です。尋ねたいことは尋ねられる関係がいいです。医師の常識は必ずしも患者さんの常識ではありません。反対に患者さんの常識は医師の常識ではありません。医師の話を聞き、疑問がればききたいことを整理して医師に尋ねてください。自分の身体は自分がわかるといいますが、わからないことも多くあります。特に喘息は患者さん自らが生活を整えることが大切です。医師はあなたのことを心配しています。

5. 禁煙しましょう

あまり重症視されていないきらいがありますが、喫煙は重大な喘息の悪化要因です。禁煙をするだけで(この禁煙が難しいことも承知していますが)、喘息のコントロールは随分とよくなります。PM2.5が騒がれている割には喫煙が問題視されていないように感じるのは医師だけではないと思います。喘息患者さんの中にはタバコの煙を吸っただけで(いわゆる副流煙です)喘息発作が起こる方もおられます。喫煙は気管支にダメージを与え、せっかくよくなりかかっている気管支喘息を悪化させます。また発癌率を高め、動脈硬化をきたします。喘息発作が出たら禁煙するには絶好のチャンスです。咳のために喫煙できなくなるからです。ぜひ禁煙にトライしてみてください。