喘息のコントロールがうまくいかないとき どうしたら喘息のコントロールはよくなるか

喘息のコントロールがうまくいかないときはどうする?

1.吸入はうまくできてますか

喘息のコントロールがうまくいかない原因の1つに、喘息の吸入薬がうまく吸えていないことがあります。吸入ステロイドは喘息治療の根本となる治療法ですが、吸入がうまくできていないことは、珍しいことではありません。中には、空になった吸入器を使い続けて、喘息のコントロールがうまくいかなかったという例も少なからず経験します。吸入の仕方があやふやな時は、もう一度吸入の仕方のチェックをしましょう。吸入薬は飲み薬と異なり、吸入器具を使わなければなりません。日常の診療では充分に吸いこめていなかった、吸入器具がうまく操作できなていなかったなど患者さんごとに間違いやすいポイントは違います。当院では吸入指導は繰り返し行っていますので、吸入方法が分からなければ遠慮なく伝えてください。

2.吸入薬は規則的に吸えていますか

喘息は、その病気の特徴として、発作が起こっていない時には、症状がないように思えます。このため喘息が良くなったと判断して、自己判断で中止する方がいます。しかし、喘息は気管支のアレルギー性炎症が起きており、喘息発作が起きていない状態でも、炎症は残っています。喘息のコントロールをよくするコツは、「症状がない時も吸入を続ける」ことです。症状がないのに薬を使い続けることに、積極的でない方が多いことはよくわかります。ここまでに何度も書いているように、「喘息は気管支のアレルギー性炎症」なので、症状がよくなってからも、気管支の炎症は残ります。この炎症がよくなるのは、少なくとも3ヶ月から、長いと1年位かかるとされています。「喘息の症状が良くなる」と、「喘息の基本病態の炎症が良くなる」はイコールではありません。喘息の症状がよくなってから、後からゆっくりと炎症が改善してくるというのが、本当のところです。このため、「喘息の症状が良くなって」も規則的に吸入ステロイドを含めた喘息の治療を続けることが、次の喘息発作を起こりにくくします。

3.生活は規則正しくできていますか

喘息の悪化の原因は「疲労」「ストレス」「風邪」が多いと言われています。忙し毎日を送っているとなかなか自分でコントロールできない状態も多いのですが、規則正しい生活をして、十分睡眠をとることは基本です。疲労は喘息の悪化要因ですので、充分な休息をとり、疲労を回復することは喘息治療のうえでは大切なことです。また規則正しい生活は喘息の予防になります。ストレスはそれぞれ個人に応じて異なりますが、積極的な対処法を身につけてください。休日の散歩や外出、それぞれの生活に応じた方法を見つけて実行してください。

4.禁煙はしていますか

タバコの煙は喘息の悪化要因です。タバコの煙自体に気管支の炎症を悪くする作用があるだけでなく、吸入ステロイド薬の効果が出にくくなります。喘息の治療に禁煙は必要です。禁煙できれば喘息のコントロールは随分とよくなる患者さんが多いのです。現在当院では禁煙のための補助薬は処方していません。喫煙は薬物依存症です。必要に応じ禁煙外来をご紹介しています。遠慮なくご相談ください。

5.アレルギーの元(アレルゲン)は避けていますか

職業性のアレルギーの場合、(例えばパン屋さんが小麦粉アレルギーを持っている場合)簡単に仕事を変えるわけにもいきません。この場合治療をし続けながら、生活を送らざるを得ません。またペット(イヌ、ネコ、ウサギ、鳥など)がアレルギーの元(アレルゲン)になっている場合があります。アレルギーの発症は、アレルゲンの源となるペットを飼い出してから、何年もたってから発症する場合もありますから、ペットを飼っている場合は一度主治医と相談して下さい。特にアレルゲンとなる動物を触ると、眼や皮膚がかゆくなったり、鼻水が出たり、息がしにくくなる場合は、対策が必要です。一番の対策はペットを手放すことですが、家族の一員となっている場合にはなかなかこれは難しく、実際にはペットを飼い続けながら、ペットがいる限り、喘息の治療も続けるということになります。ペットと一緒に寝ない、居室を分ける、外で飼うなどできることはやってみて下さい。また担当医にご相談下さい。

6.職場環境は大丈夫でしょうか

職場環境にある物質で喘息が悪化することがあります。もし休日には喘息の症状が軽快するようでしたら一度は調べてみることが必要でしょう。かかりつけの医師とよく話し合ってみてください。

以上のようなことがきちんとできていても、喘息のコントロールが不良な場合、喘息の治療薬を増やしていくことを考えます。なるべくたくさんの薬を使わないシンプルな治療を行いたいと思っていますが、なかには重症の喘息の患者さんで多数の種類の薬を使わざるを得ないこともあります。

7 アレルギー性鼻炎、逆流性食道炎(鼻水、鼻詰まり。胸焼け)など他の合併症はありませんか?

喘息は単独の病気のこともあれば、様々な他の合併症が併存していることもあります。アレルギー性鼻炎や逆流性食道炎の併存があることは稀ではありません。この場合こういった合併症の治療が必要です。担当医に相談して下さい。