COPDの予後

COPD とはchronic(慢性の) obstructive(閉塞性)pulmonary(肺の) disorder(病気)の略です。従来は慢性気管支炎あるいは肺気腫と呼ばれていました。この病気は喘息とは異なり、空気が通る道(=気道といいます)が常に狭くなるために「慢性」という語句が頭にくっついています。ちなみに喘息では気道が狭くなるのは自然に軽快したり治療によってひろがったりします(可逆性といいます)。これに対してCOPDの気道狭窄は元へ戻ることはありません(正確には薬物治療によりある程度は拡張します)。COPDの予後は重症になればなるほど悪く気道の感染(風邪や肺炎など)をきっかけとして悪化することがあります。時には急速に呼吸不全が悪化し最悪の場合死亡につながります。

では、どのようにすればCOPDの予後を予測すればよいのでしょうか。
現在までに

  1. 呼吸機能が悪い
  2. 栄養状態が悪い
  3. 一定時間内に歩ける距離が短い
  4. 呼吸困難感が強い

と生命予後が悪いことがわかっています。
しかし、単一の要素だけでCOPDの生命予後を予測することは困難です。

以下のような研究があります。

  1. (body mass index, BMI ボディーマスインデックス)
    体重(kg)÷身長÷身長で算出します。(例160㎝ 75㎏ならばBMI=75÷1.6÷1.6=29)
  2. (obstruction)呼吸機能による気道の閉塞の程度
  3. (dyspnea)呼吸困難感
  4. (exercise)運動能力

の頭文字をとってBODEスコアーという点数化を行なっています。625人のCOPD患者を約2年半追跡し、BODEスコアーによるグループ分けで死亡率を見ています。この期間中に死亡した人は162名で死因は呼吸不全61%(99名)心筋梗塞14%(23名)肺癌12%(19名)でした。

0 1 2 3
1秒率の予測値 65%以上 50~60% 36~49% 35%以下
6分間の歩行距離 350m以上 250~349m 150~249m 149m以下
MMRC呼吸困難感スケール 0~1
BMI(ボディーマスインテックス)
(体重(㎏)÷(身長)÷(身長)
21以上 21以下

このように点数を足し合わせると最低0点 満点で10点となります。それぞれ2点まで4点まで 6点まで 10点までと4つのグループに分けます。生命予後は表1の上の表のようになり、BODEスコアーが低い程、つまり栄養状態が悪く、呼吸機能が落ちており、運動能力が低く、呼吸困難感が強い人程生命予後は悪いことが判明しました。縦軸は生存率 横軸は時間(月)です。BODEスケールの利点は比較的簡単に測定できる指標の総合点で予後がわかる、という点で便利な指標です。ただし死亡という点でのみしかCOPDの評価できないのが残念です。

表1